Akira(漫画・映画)
1巻(PART1 鉄雄)
2019年。東京湾には超高層建築物が林立する新首都「ネオ東京」が建設され、その繁栄は爛熟の極に達していた。しかし、その足元では反政府デモ隊と警察が衝突する騒然とした状態が続いていた。崩壊ののち放置されていた「旧市街」(かつての東京)でも、2020年の東京オリンピック開催を機に、都市再開発が進められようとしていた。
主人公である職業訓練校生・金田率いるバイクチームの少年たちは、旧市街へと続く遺棄されたハイウェイに入り込んでバイクを走らせていたところ、「爆心地」付近で白髪の少年と遭遇する。彼はアーミー(軍)の研究機関「ラボ」から、反政府ゲリラによって連れ出された実験体・タカシ(26号)であった。
バイクチームのメンバー・鉄雄は、突然現れたタカシを避けきれず事故を起こし負傷する。鉄雄は治療のためタカシと共にラボに連れ去られるが、タカシとの接触をきっかけに鉄雄の中に能力が目覚め始める。
金田たちは連れ去られた鉄雄を探すなかで、能力研究の秘密を追う反政府ゲリラのメンバーである竜、ケイの二人と出会い、大佐率いるアーミーやマサル(27号)とのタカシ争奪戦に巻き込まれる。退院し学校に戻ってきた鉄雄は、以前のようなおとなしく気の弱い少年ではなく、敵対する暴走族・クラウンのメンバーを殺しかけ、止めに入った金田に反抗する。
ラボの病院を脱走した鉄雄はクラウンのアジトに乗り込み、能力を使いメンバーを殺害し、リーダーのジョーカーを屈服させて新たなリーダーの座に納まると、他の暴走族への攻撃を開始した。金田はクラウンに対して、他の暴走族と糾合して反撃を試みる。
ネオ東京の路上を舞台にバイクチーム同士の大規模な抗争が起こるが、金田たちは能力を使う鉄雄ひとりの前になすすべなく敗れる。鉄雄はかつての仲間であった山形を金田の目前で惨殺し、金田に拳銃で撃たれる。
そこへアーミーの部隊が到着する。能力発現にともなう頭痛に苦しむ鉄雄に対し、大佐は研究機関への帰還を促し、彼に「41号」と呼びかける。
2巻(PART2 アキラ)
バイクチームの抗争はアーミーにより制圧され、鉄雄、金田、ケイらは大佐によってラボが入る超高層ビルに連行される。そこにはタカシ、キヨコ(25号)、マサルという、先の世界大戦以前の極秘研究プロジェクトで能力を開発された、老人のような顔をした子供たち「ナンバーズ」も住まわされていた。薬物を投与されながら能力を開花させつつあった鉄雄は、研究の核心にある「アキラ(28号)」に強い関心を持つ。
かつてナンバーズの子供たちの仲間であったアキラは、30年近くに渡って政府が巨費を投じ封印し続けている、謎の存在だった。一方、ラボを訪れた大佐に対して、予知能力を持つキヨコは、アキラの目覚めとネオ東京の崩壊が間もなく起こることを告げる。
キヨコはケイを能力で操り、アキラを探る鉄雄を止めようとするが、鉄雄はラボを逃げ出して旧市街に向かい、爆心地に建設中のオリンピックスタジアムの地下に隠されたアーミーの極秘施設を襲撃する。追ってきた大佐らの説得に耳を貸さず、鉄雄は絶対零度で冷凍封印されていたアキラを目覚めさせ、連れ出してしまう。
アキラが外へ出たことを知った大佐は非常事態宣言を発令させ、軍事衛星「SOL」(軌道レーザー衛星兵器)によるレーザー照射を使ってアキラと鉄雄の殺害を試みる。鉄雄は攻撃を受けて右腕を失い生死不明となり、アキラは混乱の中でラボを脱出し追ってきたケイと金田によって保護される。
3巻(PART3 アキラ II)
連れ出されたアキラを巡って、アキラを特別な存在と考えるミヤコの教団と、アキラを取り返そうとするアーミーとの争奪戦が始まる。ケイたちからアキラを預かった野党党首の根津は、支持母体の長であるミヤコを裏切り、部下であるゲリラも切り捨て、自らの政治的野望のためにアキラを利用しようとするが、ケイや竜、チヨコ、金田らは根津の手先から逃げ延び、アキラを連れ去る。
一方、アキラ争奪戦における非常事態宣言発令の混乱の責を政府に問われた大佐は、アキラ行方不明という非常事態に際しても与野党の醜い政争が続く状況に業を煮やし、クーデターを決行。ネオ東京に戒厳令を敷いてアーミーの大部隊を出動させ、アキラを捜索する。
根津の私兵、ミヤコの教団が独自に育成した能力者、大佐率いるクーデター部隊、金田たちによるアキラ争奪戦は、早朝の運河で金田らがアーミーに追い詰められたことで幕を閉じる。大佐の連れてきたナンバーズの子供たちがアキラの元に集まるが、アキラを射殺しようとした根津の弾丸がタカシの頭に当たってしまう。ナンバーズやアキラたちの脳内に衝撃が走り、それを引き金にアキラは37年前に東京を壊滅させた能力を再び解放した。
アキラを中心に現れた光が爆発的に拡大してビル群を飲み込み、ネオ東京のあらゆる建物が崩壊し地盤とともに海へと崩れ落ちる。ケイや大佐らはナンバーズの子供たちによる瞬間移動で難を逃れたものの、金田は光に飲み込まれ行方不明になる。
ネオ東京の崩壊後、ひとり爆心地にいたアキラの前に、SOLによる攻撃を生き延びていた鉄雄が現れる。
4巻(PART4 ケイ)
廃墟となったネオ東京は政府やアーミーによるコントロールを失い、完全な無政府状態と化していた。鉄雄はアキラを「大覚」に祭り上げ、被災者を集めて「大東京帝国」という勢力を築き上げる。
外部からの接触を拒み、孤立した集団の支配者となった鉄雄は、被災者への食料に薬物を混ぜ、帝国の構成員にも薬物を投与して能力者を育てようとしていた。一方、ミヤコの教団は被災者に食糧や能力による治癒を与えてもう一つの勢力を築いており、ケイらゲリラの生き残りも、薬物欠乏に苦しむナンバーズらと共に教団へと身を寄せる。鉄雄はやがて、薬物でも自らの力を抑えられないようになっていく。
ネオ東京の廃墟では、切り札であるSOLの発射ボタンを持って単身で鉄雄に挑む大佐、ジョージ山田率いるアメリカ海兵隊特殊部隊、ゲリラの生き残りである竜のグループが、それぞれ大東京帝国へと迫る。
鉄雄は「隊長」が集めてきた少女たちに致死量の薬物を与え、破滅的なセックスに耽溺する。一人の少女が薬物を家族に持ち帰ろうとして飲まなかったため生き残ると、鉄雄はその少女・カオリを侍女として仕えさせるが、次第に彼女に依存していく。
鉄雄は、一言も発さず感情を表さないアキラをいぶかしみ、アキラの心の中を覗いて激しいショックを受ける。アキラとは何なのかを問うため、鉄雄はひそかにミヤコの下を訪れる。自らもナンバーズ(19号)であるミヤコはプロジェクトの全容を語り、アキラに近づくことができるのは鉄雄しかいないと説く。
ナンバーズとミヤコの教団のつながりを掴んだ隊長は鉄雄に指示を請うが相手にされず、独断で兵を率いてミヤコの教団と激しい戦闘となる。その最中、薬物の摂取を止めて苦しみに耐える鉄雄は、大佐が再び放ったSOLのレーザーに刺激され、能力の爆発的覚醒を起こして空中へと飛翔し、光を集める。
その光の中から、ネオ東京崩壊時にアキラの球体に飲みこまれたビルの残骸が出現して地上へ落下し、その中に金田の姿もあった。
5巻(PART5 ケイ II)
ケイや甲斐、ジョーカーらと再会した金田がようやくネオ東京崩壊以後の状況を理解した頃、大東京帝国はミヤコ教の勢力に被災者を奪われている状況に危機感を持ち、構成員の士気を高めるためにオリンピックスタジアムで大集会を開くことを計画する。一方、ネオ東京沖合のアメリカ海軍艦隊の空母では、アキラを巡る現象を調査する米・ソ共同の「ジュヴィナイルA」計画に参加する軍人や科学者たちがアキラや鉄雄による力の発動を観測していた。鉄雄の能力の膨張は留まることを知らず、沖合の空母を急襲して自分を観測する科学者たちの前に姿を現し、研究者たちを嘲笑する。
ジョージ山田としばらく行動を共にしていた竜は、山田がBC兵器でアキラと鉄雄を抹殺しようとしていることを知る。山田は竜と決別し、ジュヴィナイルA計画の遅滞に不信感を持つ海軍提督が呼び寄せた海兵隊の特殊部隊と合流する。
オリンピックスタジアムでは大東京帝国の集会が開催され、鉄雄は余興として月の一部を破壊する。しかし、あまりに大きな力を使った鉄雄の肉体は崩壊を始め、鉄雄自身にも制御できない、肉体と機械の融合した怪物となって暴走していく。
ケイは、ミヤコやナンバーズらの力の触媒となって鉄雄と戦う決意を固め、ミヤコから禊を受ける。沖合のアメリカ海軍艦隊に出現し破壊の限りを尽くす鉄雄に対し、ケイが立ち向い撃退する。
アメリカ海兵隊、竜、大佐らはそれぞれの切り札を持ってスタジアムに侵入を開始。金田とケイもジョーカーと甲斐のグループに合流し、スタジアムに立て篭もる大東京帝国や鉄雄との間で最後の戦いを開始する。
6巻(PART6 金田)
沖合から戻ってきた鉄雄はカオリの前で肉体の崩壊を起こすが、機械の腕を身体から切り離すと失われた腕が再生し、一瞬自分の形を取り戻す。
しかしそこに現れた大佐がSOLの照準器を鉄雄に向け、レーザーをスタジアムに発射する。SOLの再起動を受けて海軍提督はネオ東京への全面攻撃を決意する。SOLのレーザーの直撃を防御した鉄雄の体は直後に爆発的に膨れ上がり、もはや人の形をとどめない異形の姿となって襲いかかる。
化け物に成り果てた鉄雄を殺すため、アキラを盾にして進む隊長。それを鉄雄に伝えようとしたカオリは隊長に撃たれる。
再び暴走が止まり形を取り戻した鉄雄は、死の間際にあるカオリを見つける。そこへ隊長の武装勢力とアメリカ海兵隊がなだれ込んだ。ジョージ山田は鉄雄のために用意した特殊な細菌ガス弾を使用する。隊長の勢力はガスに呑まれ全滅するが、ガスを吸収した鉄雄はこれまでの苦悶が嘘のように晴れ、完全に肉体と精神のコントロールを取り戻す。
海兵隊を全滅させた鉄雄の前に金田らが現れ、鉄雄と金田の決闘が始まる。ケイも加わるが、力が完全に高まった鉄雄に一方的に圧倒される。しかしアメリカ軍の戦闘爆撃機による絨毯爆撃が開始され、さらにアメリカ軍の衛星兵器「フロイド」によるレーザー攻撃がスタジアムを破壊する。鉄雄は衛星軌道へ飛翔してフロイドを破壊し、そのまま落下させて空母に直撃させる。ジュヴィナイルAの科学者たちは沈没する空母から辛くも脱出する。
フロイドの攻撃の中でさまよっていたアキラを連れてスタジアムを脱出した金田とジョーカーは、行方の分からなくなったケイを探そうとする。鉄雄は死んだカオリを蘇らせようとするが叶わず、カオリの体を抱え、オリンピック会場地下の冷凍施設へと向かう。スタジアム内で辛くも生き残った大佐とケイだったが、ケイはミヤコに呼び掛けられ、再び鉄雄と戦う準備をする。
アキラ用の冷凍封印カプセルにカオリの遺体を運んだ鉄雄の前にケイが出現するが、鉄雄の体の中では再び能力の暴走が始まろうとしていた。アキラも鉄雄に共鳴するかのように地下施設に足を向け、アキラの後を追う金田らも鉄雄がその先にいることを察知し、竜やチヨコらと合流して地下に向かう。
地下では鉄雄が再び膨張を始める。地下に到達し鉄雄の姿を目の当たりにした金田に対し、鉄雄は一瞬姿を取り戻し「助けてくれ」と懇願するが、再び膨張を始めた鉄雄の中に金田は飲み込まれる。鉄雄とアキラは互いに呼応するかのように手の中に光を発生させるが、三度目の爆発を止めようとした竜がアキラを撃つ。
アキラとのつながりが切れた鉄雄は、自分たちを観測しているミヤコやナンバーズの能力に引き寄せられ、冷凍カプセルを地下から引き抜くとミヤコ教神殿上空に現れる。不安定な鉄雄を完全に覚醒させるため、ミヤコはナンバーズにアキラの力をもう一度解き放たせるよう頼み、鉄雄との最後の能力戦に挑む。
ミヤコに指示を受けたケイがSOLに移動し、鉄雄とミヤコのいる神殿にSOLのレーザーを落とす。すると、鉄雄の最後の覚醒が起こり、神殿を中心に光が発生した。同時に、ナンバーズの仲間と共に空に浮かぶアキラがもう一つの光を発生させる。
アキラの光が鉄雄の光を飲み込んでいく中、鉄雄の体内に取り残されていた金田は、鉄雄の記憶、宇宙の始まり、宇宙が究極の状態を目指して進む「流れ」に介入して曲折をもたらす「能力」を人類が得つつあることの意義、そしてナンバーズの子供たちに行われた実験の過程を目撃する。アキラとナンバーズが鉄雄を吸収し、アキラの光により新しく生まれた宇宙の彼方へと去ろうとする瞬間、金田はケイによってアキラの光の中から救い出され、この宇宙に引き戻される。
再び爆心地となったネオ東京に国連軍が上陸し、被災者への救援が始まる。しかし偵察中の国連軍の前に「大東京帝国」を名乗った金田、ケイ、チヨコ、甲斐、ジョーカー、そして仲間たちが現れ、「我々の国に口出しはするな!」と警告を与え、「アキラはまだ俺たちの中に生きてるぞ!!」と言い残してバイクで走り去る。
廃墟の谷間をバイクで疾走する金田とケイを、山形と鉄雄の幻が追い越してゆき、崩壊したネオ東京が蘇るビジョンと共に物語は終わる。
Lucy(映画)
ごく普通の女性ルーシーは、訪れた台北のホテルでマフィアの闇取引に巻き込まれ、下腹部にCPH4という新種の麻薬が入った袋を埋め込まれてしまう。この麻薬は、通常10%までしか活用できない人間の脳の潜在能力を極限まで高めることができる恐ろしいものだった。運び屋として体内の麻薬と共に移動するよう命じられたルーシーだったが、麻薬を狙う別のマフィアに捕まってしまう。ルーシーは激しい拷問を受けるが、その拍子に体内の袋が破れ、彼女の脳は麻薬の力で覚醒し、超人的な力を発揮してその場から脱出する。
ルーシーの脳はますます覚醒し驚異的な力を発揮し始め、マフィアの事務所を襲撃し、ボスのMr.チャンを負傷させ、残りのCPH4を手に入れるために運び屋の行く先の情報を手にする。ルーシーはフランスのピエール刑事に協力を要請し、運び屋を逮捕させ、Mr.チャンの仲間も倒して残りも手に入れる。そして脳科学の権威であるノーマン博士に会いにいく。その間もルーシーの脳の覚醒は治まらず、いつしか彼女は人間性を失い、その力を制御することができなくなってしまうようにみえた。
ノーマン博士と面会を果たし、Mr.チャンと仲間が復讐のためにルーシーを殺しにやってきたとき、ついにルーシーの脳が100%覚醒する。
マトリックス(映画)
トーマス・アンダーソンは、大手ソフトウェア会社のメタ・コーテックス[10]に勤めるプログラマーである。しかし、トーマスにはあらゆるコンピュータ犯罪を起こす天才ハッカー「ネオ」という、もう1つの顔があった。平凡な日々を送っていたトーマスは、ここ最近、起きているのに夢を見ているような感覚に悩まされ「今生きているこの世界は、もしかしたら夢なのではないか」という、漠然とした違和感を抱いていたが、それを裏付ける確証も得られず毎日を過ごしていた。
ある日、トーマスはパソコンの画面に「起きろ、ネオ(Wake up, Neo.)」「マトリックスが見ている(The Matrix has you.)」「白ウサギについて行け(Follow the white rabbit.)」という謎のメッセージを受け取る。ほどなくしてトリニティと名乗る謎の女性と出会ったトーマスは、トリニティの仲間のモーフィアスを紹介され「あなたが生きているこの世界は、コンピュータによって作られた仮想現実だ」と告げられ、このまま仮想現実で生きるか、現実の世界で目覚めるかの選択を迫られる。日常の違和感に悩まされていたトーマスは現実の世界で目覚めることを選択する。渡された赤いカプセルを飲み、心停止した瞬間、トーマスは自分が培養槽のようなカプセルの中に閉じ込められ、身動きもできない状態であることに気づく。トリニティたちの言ったことは真実で、現実の世界はコンピュータの反乱[11]によって人間社会が崩壊し、人間の大部分はコンピュータの動力源として培養されていた。覚醒してしまったトーマスは不良品として廃棄されるが、待ち構えていたトリニティとモーフィアスに救われる。
トーマスは、モーフィアスが船長を務める工作船「ネブカドネザル号」の仲間として迎えられ、ハッカーとして使っていた名前「ネオ」を名乗ることになった。モーフィアスはネオこそがコンピュータの支配を打ち破る救世主(The One)であると信じており、仮想空間での身体の使い方や、拳法などの戦闘技術を習得させた。人類の抵抗軍の一員となったネオは、仮想空間と現実を行き来しながら、人類をコンピュータの支配から解放する戦いに身を投じ、仲間の信頼を得ながら才能を開花させて行く。
デトロイト ビカム ヒューマン(ゲーム)
2038年、AI技術とロボット工学の発達により、アンドロイド産業で栄えたアメリカ・デトロイトが舞台。サイバーライフ社が人間そっくりのアンドロイドを開発・流通させたことで、過酷な労働をはじめ、人間に可能な作業の多くをアンドロイドが肩代わりするようになっており、経済発展の一方で失業率は増大している。アンドロイドの中には、自我を持ったかのように行動する「変異体 (Deviant)」と呼ばれる個体も現れ、物語冒頭では変異体が初めて人命を奪った事件現場に、主人公の一人、最新鋭の捜査補佐アンドロイドであるコナーが派遣される。変異体は現場の家庭で所有されるアンドロイドで、一家の父親を殺害してから娘を人質に屋上に立てこもっており、コナーは人質を救助するために交渉人として対応する。この人質事件のみが2038年8月の出来事であり、以降のストーリーは全て同年11月5~11日の間の出来事が、主人公3人の視点を並行しながら進行していく。
世間では貧富の格差により人々が反アンドロイド感情を募らせており、別の主人公・カーラはそのような失業者の一人であるトッド・ウィリアムズに所有されている。故障・修理を経てメモリーがリセットされたカーラは、改めてトッドから家事と、娘・アリスの世話を命じられるが、薬物に依存しているトッドは情緒不安定で、2人に対し高圧的に振る舞っている。トッドが発狂してアリスに暴行を加えようとした際に、プレイヤーの行動に応じてカーラは変異体になることができる。アリスと共にトッドの家から逃げ延びた場合、アリスのために雨風を凌ぐ場所を探す中で、カーラは見知らぬアンドロイドから、変異体を助けているらしいズラトコという人物の情報を受け取る。警察の追跡を逃れられるとズラトコの屋敷にたどり着くが、実際にはズラトコは変異体を密売や改造するために初期化・解体しており、カーラもその餌食となる。アリスと共に無事ズラトコの家を脱出できると、屋敷で仕えていたルーサーという別の変異体も仲間になる。3人は安全な場所を求め、アンドロイドの扱いについて定めた法律がないカナダを目指す。途中で車が故障するトラブルに見舞われ、廃遊園地で暖を取る中で3人は絆を深めつつ、変異体を匿い亡命を手伝っているローズという人物のもとを訪れる。そこでは温かく迎え入れられるが、変異体を探す警官による家宅捜索を受けたことで、すぐにも国境越えの準備を始めることとなり、ストーリー終盤へと向かう。なお、これらの道中でカーラが死ぬと、カーラ編のチャプターが終了した状態で他の主人公のストーリーが進行する。
一方、別の主人公・マーカスは、裕福な画家であるカール・マンフレッドの介護及び創作アシスタントアンドロイドとして奉仕しながら、哲学や絵画を通じて薫陶を受ける。カールの私生児であるレオは、自分よりも父親に大事にされるマーカスを疎ましく感じており、薬物を買うための金をカールが与えてくれないことを挙げつつ不満を露わにする。ある時誰もいないはずのスタジオに灯りが点いていたことから、マーカスはカールの指示を受けて通報するが、侵入者の正体は金目になる絵を物色するレオだった。口論が生じる中でレオがマーカスの胸ぐらを掴んだ際、抵抗してはならないというカールの命令に疑問を抱いたマーカスは変異体になるも、駆けつけた警官に撃たれて廃棄される。廃棄場で奇跡的に再起動したマーカスは、自身の壊れた部品を他の廃棄アンドロイドのものと交換することで生き延び、あるアンドロイドから受け取った情報を頼りに、変異体の隠れ家となっている廃船・ジェリコに到達する。アンドロイドが活動を維持するための部品も足りず、ジェリコでただ死を待つ変異体達を見て、これは自由とは呼べないと考えたマーカスは、部品を求めて港にあるサイバーライフ社の倉庫に侵入する計画を立てて実行する。この計画を通してマーカスはノース・ジョッシュ・サイモンの3人と共に様々な作戦を主導することになり、暴力も辞さないノース、平和主義者のジョッシュ、リスク回避を重んじるサイモンとの間で意見が割れつつも、マーカスが指揮を取っていく。アンドロイドのための抵抗運動を始めたマーカス達は、まずデトロイト中心部のストラトフォードタワー最上階にある放送局を占拠し、人間に対し自由と権利を要求する声明を放映する。その後も、デトロイト市内に計5箇所あるサイバーライフ店舗を同時襲撃して店頭のアンドロイドを解放する計画や、大通りを封鎖して街中で働くアンドロイドたちを次々と変異体に覚醒させながら、自由と権利を要求するデモ行進を行うことを通して、急速に大きな社会現象へと発展していく。なお、マーカス編に該当するチャプターは、マーカスが死んだりジェリコから去ったりしたとしても、ノースがリーダーの役割を代理する形でこれ以降のストーリーが進行することになる。
コナーはサイバーライフから直に命令を受ける立場で変異体事件の捜査を担っているため、カーラを追跡する・マーカスが起こした事件を捜査するといった形で、他の主人公のストーリーにしばしば関わることになる。変異体の関与が疑われる事件が起こった際に、アマンダという管理者から捜査を命じられ、デトロイト市警のハンク・アンダーソン警部補の捜査補佐として現場に赴くという流れが、多くのチャプターで繰り返される。ハンクは元々優秀な警官だが、個人的事情をきっかけにアルコールに依存していて勤務態度も悪く、且つアンドロイド嫌いなこともあり、初めに捜査に任命されてからストーリー中盤までは際立って非協力的であるため、コナーが時に強引に現場へ連れていく。しかし、分岐に応じて個々の事件で容疑者にあたる変異体を見つけたり動機を聞き出したりすることができても、変異の兆候を見せるアンドロイドが増えていること自体の解明には至らない。コナーの捜査は難航し、プレッシャーをかけてくるアマンダと、変異体事件に関わる中で情緒不安定になり存在論的問いを投げかけてくるハンクとの間で板挟みになっているうちに、マーカス達は次々と行動を起こし事態は大きくなっていく。ある時ハンクの発案で、2人はサイバーライフ社の創設者にしてアンドロイドの開発者であるイライジャ・カムスキーのもとを捜査に訪れる。変異体の情報について訊かれたカムスキーは、彼らのことを自由意志を手に入れた素晴らしい存在だと語り、コナーに対しても自由意志の有無を試すテストを仕掛ける。カムスキーの邸宅でコナーが捜査の手がかりを得たかどうかにかかわらず、結局マーカス達のデモ隊と警官隊の衝突を受けて内戦勃発の危機が高まったことを理由に、捜査はデトロイト市警からFBIに強制的に引き継がれてしまう。担当を解任されたコナーはアマンダからの命令に従い、単独でジェリコの場所を突き止めることになる。なお、コナーは次の機体にメモリーをアップロードできるので、死ぬことによってコナー編のチャプターが終了することはない。一連の捜査の結果によっては廃棄処分を命じられ、この時点で終了する。
終盤で、カナダに行く為の偽造パスポートを求めるカーラと、変異体のリーダーを捕まえるよう命じられたコナーが同時間帯にジェリコを訪れ、生き残っている場合は主人公全員のストーリーが交錯することになる。既にデトロイト市内では外出禁止令が出され、軍によるアンドロイド狩りが始まっていた。アンドロイドたちは見つかり次第処刑されるか、捕まってリコールセンターと称される収容所に送り込まれた後に破壊されている。コナーがジェリコの場所を突き止めた場合は、これに起因してFBI率いる軍の人間がジェリコへの襲撃を仕掛け、多くの変異体が破壊されるか収容所に連行される。襲撃の有無を問わず、いずれにせよこの情勢を受けてマーカス(リーダーはノースの分岐もあるが、便宜上マーカスについて記載する)は種族の未来をかけた決断を下し、収容所のアンドロイドを解放するべくデモ行進もしくは武力によって抵抗する。軍は、デトロイトをはじめ全国で検問検査を行いアンドロイドを摘発し、カナダへ逃亡されないようにするため国境にアンドロイド用の検問を設け、川もボートで巡回している。カーラ達はこの中をくぐり抜けカナダを目指すか、分岐によっては収容所に連行され、生き残る道を探ることになる。収容所前でのマーカス達と軍の動向を国民がテレビの生中継で見守る中、コナーは分岐に応じて変異体リーダーの暗殺任務に就いているか、マーカス達に加勢するためサイバーライフ本社に眠るアンドロイドを解放する作戦を遂行している。マーカスの行動と、コナーがアンドロイドを解放したか否かの組み合わせに応じて、アンドロイドと人間の間で交渉が始まるか、戦争が始まるか、そのまま弾圧されるかといった複数の結末に枝分かれする。