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11月末から12月始めにかけて、東京現代美術館で開催された「TOKYO ART BOOK FAIR」。一見すると、アートブックの展示即売会という日本的な文化イベントに思えるかもしれません。しかし、私がこのフェアを訪れて強く感じたのは、意外にもシリコンバレーの空気感でした。ホンモノの海外の方が集まるので、「エセ」ではなく、審美眼、インスピレーション、自由な雰囲気、木の匂いまで、個人的に現地と似たものを感じました。
実験的精神とイノベーション
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シリコンバレーといえば、テクノロジーの革新と実験的な試みの地。TOKYO ART BOOK FAIRもまた、従来の出版の概念を打ち破る実験的な書籍が数多く展示されています。デジタルとアナログの融合、従来の製本技術の限界に挑戦する作品など、まさにイノベーションの精神に満ちています。
オープンな対話とコミュニティ
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シリコンバレーの特徴の一つは、異なる分野の専門家が自由に交流し、新しいアイデアを生み出す文化です。このフェアでも、アーティスト、デザイナー、出版社、読者が垣根なく交流し、新しい表現の可能性について活発な対話が行われています。
DIY精神とスタートアップマインド
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自主制作の出版物(いわゆるzine)を展示する作家たちからは、シリコンバレーのスタートアップさながらのDIY精神が感じられます。限られたリソースの中で、情熱と創造性を武器に、新しい表現方法を模索する姿勢は、まさにスタートアップの起業家たちと重なります。
失敗を恐れない文化
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展示される作品の中には、実験的すぎて商業的な成功は難しいと思われるものも少なくありません。しかし、それこそがシリコンバレーのフェイルファスト(素早く失敗し、そこから学ぶ)文化と共通しています。失敗を恐れず、むしろ創造の過程として捉える姿勢が、このフェアの随所に見られます。
グローバルな視点
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世界中からアーティストや来場者が集まるこのフェアは、シリコンバレーのようなグローバルな視点を持っています。日本のローカルな文化と、国際的な表現の潮流が交わる場となっているのです。
結論
TOKYO ART BOOK FAIRは、単なるアートブックの展示会ではありません。それは、イノベーション精神、実験的な姿勢、コミュニティの力を、出版とアートの文脈で体現するイベントなのです。日本の文化シーンの中で、このような特異な空気感を持つイベントは他に類を見ません。
キーワードは「アナーキー」さです。
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